『天才たちの日課』の感想|天才たちには、意外とまともな暮らしをしている人が多い

今回は、著者:メイソン・カリー、訳者:金原瑞人、石田文子『天才たちの日課』(フィルムアート社、2014年)の概要と感想を書こうと思う。

 

1.概要

天才的な業績のある小説家、画家、作曲家の日常生活はどんなものだったのかということを、伝記やインタビューから抜き出してまとめている。

「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」という副題の通り、この本を読むと、意外にも淡々としていて代わり映えのしない日常を天才たちが生きていたことがわかる。

取り上げられている人物は、なんと、161人にも上る。

ちなみに、日本人で取り上げられているのは、村上春樹氏だけである。

著者のメイソン・カリー氏は、元編集者のフリーランスライターで、この本の元になったのは著者のブログらしいので、ブロガーでもある。

 

2.感想

(1)この本を読む限りでは紙一重さんは少数派のようだが……

よく、狂人と天才は紙一重などと言われたりもする。

けれども、この本で取り上げられた人物たちは、まともな生活をしている者が多く、わけのわからない日々を過ごしていた者はごく少数だったように思う。

ただ、この本は著名な芸術家たちの生活習慣や生活哲学だけを切り取った本でしかないので、それ以外の部分でおかしな人であった可能性は否定されていない。

むしろ、引用されたインタビューの断片や彼らの生活の異常な規則正しさからは、風変わりで扱いづらい人物であったことが伝わってきたりもする。

(2)早死にした人が多い

この本に取り上げられた161人には、かなり早死にであった者が多い。

自殺したと明言されている者は、1人だけだが、生没年を見るに、実際には自殺が死因の者はもっと多いのではないかと思う。

天才ゆえに苦悩することもあるだろうから、しょうがないのかもしれないが、1900年以降に生まれた人もかなり含まれている割には、短命な人が多かった。

もちろん、長生きした人もいて、そっちはそっちで99歳とか98歳とか、時代を考えると異様に長生きしている。

寿命に関しては、この本に出てくる人たちは両極端だったと思う。

(3)読書家はあまりいない?

ぼくは、小説家に限らず、哲学者とか作曲家というのは読書家な印象を持っていた。

けれども、職業が詩人とか小説家の人も含めて、それほど読書に時間を使っている人はいなかった。

読書する人も、1日の終わりに少し本を読むぐらいの人が多かったと思う。

ぼくにとっては、高名な作家たちがそれほど本を読まないことはなかなかの衝撃だった。

もしかすると、たくさんのテレビ番組に出ている池上彰氏が「テレビは見るものではなく出るもの」と言っているように、小説家や詩人にとっても、本は読むものではなく書くものなのかもしれないなぁと思った。

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