上遠野浩平『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕』|眠っている「才能」を呼び起こすタマゴの話

2018年12月10日執筆

 

前の巻『ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師』の紹介記事

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

2日ぶりの更新になります。

Twitterで書きましたが、PCが家族と共用なので、家族の年賀状作成が優先されていました。

 

今回紹介するのは、上遠野浩平『ブギーポップ・カウントダウン  エンブリオ浸蝕』(電撃文庫、1999年)です。

 

1.あらすじ

お話は、「最強」と恐れられる統和機構の戦闘員、フォルテッシモが、「エンブリオ」という代物を探すようにミッションを伝えられるところから始まります。

ゲームセンターで順番待ちをしていた少年、穂波弘(ほなみ・ひろし)は、謎の男とのゲーム勝負に勝利し、戦利品としてアイテムを受け取ります。

そのアイテム、エンブリオがとんでもない代物だとは知らずに……。

弘は、姉の顕子(あきこ)と食事の約束をしており、顕子のバイト先の同僚、高代亨(たかしろ・とおる)と出会うのですが、その直後に統和機構とは別の組織の3人組に襲われます。

そして、3人組の1人が拳銃を撃ち始めたので、助けに入ってくれたのが、霧間凪だったのですが、亨は凪の師匠、榊原弦を知っているようです。

凪は、義理の弟の谷口正樹に、亨のことを押し付けるのですが、正樹と亨は、エンブリオをめぐる抗争に巻き込まれてしまいます。

時系列的には、『VSイマジネーター』の後の話なので、今までのブギーポップシリーズで、一番未来の話になります。

 

2.感想

この『エンブリオ浸蝕』は、次の巻と合わせて1つのお話になっている前編らしいので、感想を書くにも困ってしまいますね。

まず、弘がエンブリオを受け取ってから、次の日の抗争までの話なので、たぶん、1巻の中で流れる時間としては、『歪曲王』といい勝負で短く、事件のあった1日の濃密な感じが出ていると思います。

それから、シリーズ初のアクション多め巻なのですが、アクション描写が詳細で、キャラクターの動きが目に浮かぶようでした。

記事のタイトルに書いたように、エンブリオというのは、接触した人間の眠っている才能を覚醒させるもののようです。

まあ、誰にでも才能は眠っているとか、自分にも眠っている才能があるかも、と人は多かれ少なかれ思いがちですから、そういう意識が強い人や年齢層にとっては、特に楽しめる作品かもしれません。

ぼくとしては、どうやら、「自分の可能性」みたいなものを無邪気に信じられる時期が終わってしまったようで、読みながら、「もっとガキの頃に読んでいたら、もっと興奮できただろうなあ」と思ってしまいました。

もしかすると、村上春樹の『ノルウェイの森』を読んだ年配の方は、こんな感じ方なのかもしれませんね。

感想で書くことが結構ありましたね、アハハ。

 

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