上遠野浩平『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』|「非日常」も「明日」もどこにもない

2018年12月15日執筆

 

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こんにちは、尾崎すぐるです。

読書に疲れたので、「そうだ、ブログを更新しよう」と思って、書いてます。

なんか変な気もしますが、インプットばっかりしていると、インプット疲れしてくるんですよね。

ということで、最近流行りの?アウトプットをしていきます。

 

この記事では、上遠野浩平『ブギーポップ・アンバランス  ホーリィ&ゴースト』(電撃文庫、2001年)を紹介します。

 

1.あらすじ

結城玲治は、学校では優等生だけれども、つまらない毎日が「そのまま」続いていくことに閉塞感を感じている高校3年生。

結城は、オフィス街をどこへ向かうともなくうろついていた夕方に、盗んだスクーターに、自転車を盗もうとしていた、「明日」に夢を見る少女、濱田聖子を乗せて出発。

ただ、盗んだスクーターは、裏社会の人間が用意していたもので、お互いを「ゴースト」と「ホーリィ」と呼び合うことにした結城と濱田は、「ロック・ボトム」と呼ばれる兵器をめぐる裏社会の抗争に巻き込まれていきます。

頼りになるのは、「スリム・シェイプ」と名乗る、包帯でぐるぐる巻きで、あちこちに注射器の刺さったCGアニメのイタチだけ。

犯罪行為を繰り返す「ホーリィ&ゴースト」となってしまった2人の運命は!?

 

2.感想

いや、ブギーポップシリーズには珍しく、割と素直で意味を取りやすい青春小説だったと思うのですが、なんというか、その分、感想を書きにくいな、と書き始めてから困惑しています。

まあ、なんというんですかね、つまらない日常にうんざりしていたり、閉塞感を持っていたりする人は、この作品の発売当時よりもたくさんいるのではないかと思うんですよね。

なにしろ、当時と比べると、インターネットが発達して、「人生のネタバレ」が進んでしまい、財産や才能や魅力的な容姿といった、「特別なもの」を持って生まれなかった者は、希望を見出しにくくなりました。

この物語のホーリィのように「明日」はいいことがあるかもと期待することもできず、ゴーストのように心のどこかで「そのまま」でない非日常を探すこともできなくなった、そんな時代に今のぼくたちは生きているわけです。

その上、この問題に対する答えもすでに「ネタバレ」されてしまっていて、どんなにショボくても、現実を受け入れて、地道な日常を続けていくしかないのだという「凡人の生涯」が晒されてしまっています。

言ってしまえば、この作品の感想の書きにくさというか、この作品の内容が陳腐化してしまっていることこそが、社会とか文化の進歩の証しなのでしょうね。

その進歩が、良いか悪いかは別の話です。

 

Amazon:ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト(電撃文庫)

 

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