上遠野浩平『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』|アチアチなラブストーリー

2018年12月21日執筆

 

前の巻『ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』の紹介記事

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

昨日は、いつもより当ブログを見てくださった方が多かったようです。

ありがとうございます。

やっぱり、成果が出るとうれしいものなのですよ。

らんらんらん。

 

今日の1記事目では、上遠野浩平『ブギーポップ・イントレランス  オルフェの方舟』(電撃文庫、2006年)を紹介します。

 

1.あらすじ

かつて心臓病で死にかけた経験のある高校生の須磨貞夫は、クレイム・クラブという統和機構に対する異議申し立てを目的とする小サークルに参加しています。

彼の幼馴染、杉之浦春海がボートで遭難しかけた際に、それを助け、春海が無事であるということが、彼の支えになっていました。

しかし、クレイム・クラブの主宰者といえる六嶺平蔵は、どうやらクラブの決まり事を無視して不審な動きをしているらしく、また、春海とデートに行ったはずの同級生は不審な焼死を遂げて……。

作中時系列は、順調に前に進んでおり、『ロスト・メビウス』の後の話です。

 

2.感想

須磨貞夫は、高校生にしては抜群に賢かったのですが、やはり、所々で、子どもらしい純粋さから抜けきれていないという、非常にリアリティを感じるキャラクターでした。

貞夫は学校を弛緩した空気に満たされた檻のように感じていたようですが、それは一方で純粋さから抜け出せていない子どもたちを「不寛容な」外の世界から守るシェルターでもあるという「学校」の二面性も、貞夫を通して描かれていたように思います。

本人たちが思うよりも子どもたちは無力であるから「学校」で守られているわけですが、それは外の世界で生きる機会を奪うことと同義なのが難しいところです。

外の世界を知っていた貞夫には、「学校」の中は非常につまらなく、幼稚に思えたのでしょうが、その貞夫をしても、力を持つ者たちに立ち向かうには準備不足だった。

あえて言えば、もう少しだけ、春海が貞夫のことを「待って」あげられていたら、貞夫にも他の未来があったのかもしれません。

まあ、ぼくは、振り返ってみると、貞夫よりもはるかにしょうもない高校生だったし、今も子どもじみた純粋さから抜け出せていないので、「学校」というものや、「不寛容な」外の世界について、この本を読んで感じるものがあったということです。

まあ、もちろん、この本の副題の「イントレランス」というのは、そういうことではないと思いますけどね。

 

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