上遠野浩平『ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン』|忘却が志向性を持つならば……

2018年12月29日執筆

 

前の巻『ブギーポップ・アンノウン 壊れかけのムーンライト』の紹介記事

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

この記事本体の最初の雑談文ですが、記事をストックする前提だと、すごく書きにくいですね。

 

今回紹介するのは、上遠野浩平『ブギーポップ・ウィズイン  さびまみれのバビロン』(電撃文庫、2013年)です。

 

1.あらすじ

記憶をなくしてしまった不破明日那は、どうしていいものか良く分からないままに、学校の屋上でブギーポップの格好をしてお昼ご飯を食べていると、カラスに襲われます。

明日那は、なぜか使えてしまった不思議な力でカラスをバラバラにして事なきを得るのですが、その場面を狭間由紀子に見られてしまいます。

そして、そのあとすぐに現れた統和機構の合成人間、成城沙依子がカラスの死体を処理する際に、カラスがゾンビであったことに気づきます。

明日那、由紀子、沙依子の3人は、揃ってブギーポップの格好をして、この異常の謎を解き明かそうとするのですが……。

水乃星透子の死後の話であることは確実ですが、正確な時系列は不明です。

 

2.感想

水乃星透子を忘れまいとした信奉者たちのお話です。

物語の中で、忘却の志向性という話が出てきますが、それならば、「忘れない」でいようとすることはそれ以上に明確な意思を持った在りかたであると言えます。

慕っていた人を忘れまいとしたが故に、その人の思想から外れ、「世界の敵」になってしまうというのは、なんとも悲しいお話であったなと思います。

また、この巻のお話は、由紀子の物語でもありました。

由紀子は、非日常と特別な役割を望んでいたはずでしたが、非日常は非日常であるがゆえに、非日常の中で得たものや時間も日常には持って帰れないというのが切なかったですね。

あと、ぼくが読んだ印象では、由紀子がショートカットのきつい感じで、沙依子がロングヘアの落ち着いた雰囲気なのですが、どうも、挿絵を見る限り、ロングヘアの方が由紀子で、ショートカットの方が沙依子のようです。

このあたりのことは、あくまでも印象なので、読む人によって受け取り方が違うのかもしれませんけど、ぼくは、どうにも最後までキャラクタービジュアルの違和感がぬぐえませんでした。

 

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