2019年01月06日執筆
前の巻『ブギーポップ・ダウトフル 不可抗力のラビット・ラン』の紹介記事
こんにちは、尾崎すぐるです。
今日で『ブギーポップ』シリーズの紹介も最後となります。
寂しいですね。
まだ春からのアニメの情報が出そろってない感じなので、これからどうしようかなと悩んでます。
では、現在の最新刊である上遠野浩平『ブギーポップ・ビューティフル パニックキュート帝王学』(電撃文庫、2018年)を紹介します。
1.あらすじ
末真和子は、予備校の模試で満点を取って全国1位になってしまい、それをきっかけにセレブな若者の集まり「インペリアル・ゴールド」に招待されます。
そこで出会ったセレブな若者、江成泰征は、突然やってきた統和機構の幹部パニックキュートの警護役であるマロゥボーンから「失格」を言い渡されてしまいます。
次の日、末真は、泰征の妹、泰葉から泰征の地位回復に協力してほしいと頼まれるのですが、様子がおかしくなった泰葉は、パニックキュートに身体を乗っ取られてしまいます。
パニックキュートとマロゥボーンの標的はブギーポップで、末真は、2人のブギーポップ捜しに協力することになります。
2.感想
『ジンクス・ショップ』で、統和機構の"中枢"であるオキシジェンに目をつけられていた末真でしたが、今回の事件を通して、より統和機構に深入りすることになります。
末真は、いまのところ合成人間でもMPLSでもないはずなので、そういった特殊な能力を持たない彼女がどのように"中枢"の後継者になっていくのだろうと楽しみになりました。
また、どうにも物語が進んでいくにつれて、統和機構が必ずしも悪であると言い切れない組織であることがわかってきて、表面的には、「これ本当にブギーポップや凪は統和機構とぶつかるのか?」とも思えます。
統和機構は、この手の物語に出てくる巨大組織特有の「一枚岩でない」組織になってしまっていて、その一部の者たちは時折暴走してしまうのですが、全体としては、世界の平穏を維持しようとする方向で、ブギーポップや凪と同じ方を向いている気がしますよね。
もちろん、その一部の暴走が致命的な事態を引き起こす原因を作っているのは、統和機構なんですが、今までの物語に出てきた「敵」の大半は、自然発生的なMPLSや統和機構にとってのある種の裏切り者でした。
結局、危険な暴発要因を許容するか、全体のための少数の犠牲を許容するかという話のように思えなくもないですね。
ただ、「正義」というのは、いつだってそこで対立するわけです。
そう考えると、健太郎も言うように、凪と統和機構はぶつかりそうですが、ブギーポップの方はどうですかね?