あの西尾維新にも大きな影響を与えたライトノベルの名作 『ブギーポップは笑わない』シリーズ

2018年10月23日執筆

2019年01月14日最終更新

※できるだけネタバレなしで紹介していますので、安心してお読みください。

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

 

ライトノベルも年々歴史を積み重ね、現在のライトノベルに大きな影響を与えた名作がだんだんとはっきりしてきました。

ぼくは、「過去の名作も読んでみたいな」などと思いつつも、なんとなく後回しにしてきました。

ライトノベルは、どんどん新作が増えていきますし、すでに買っている作品を追うのも忙しいですからね。

けれども、今回、名作ライトノベルの一つと言われる『ブギーポップは笑わない』のシリーズが再アニメ化されるという絶好の読書機会に恵まれたので、読んでみました。

 

1.基本情報

(1)シリーズ名

ブギーポップシリーズ

(2)著者

上遠野浩平(著)、緒方剛志(イラスト)

(3)出版社

KADOKAWA

(4)レーベル

電撃文庫

2.概要

ごく普通の高校生たちが暮らす街の薄皮一枚隔てた裏側で、信じられないような超常の事件が起こっているという世界観です。

そして、事件を起こす「世界の敵」と戦う正義の味方のような存在としてのブギーポップにまつわるお話でもあります。

作品の形式としては、複数の登場人物、あるいは複数の主人公の物語を通して、事件の全貌が明らかになるようになっています。

 

3.各巻の紹介

(1)『ブギーポップは笑わない』(1998年)

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ア.あらすじ

深陽学園に通う高校生竹田啓司(たけだ・けいじ)の彼女である宮下藤花(みやした・とうか)には、本人の自覚しないもう一つの人格がある。

男とも女ともつかない様子で、筒形帽子にマントを着るその存在は「ブギーポップ(不気味な泡)」と名乗ります。

ブギーポップは、世界の敵である「人食い」を追っているのだと説明します。

「人食い」とは何のことなのでしょうか?

深陽学園の周辺で起こる恐ろしい事態にほとんどの人は気づいていません。

各キャラクターの行動を通して、何が起こっていたのか、ブギーポップは何を追っていたのかということが、読者に明かされていきます。

イ.感想

物語の中に出てくる紙木城直子(かみきしろ・なおこ)というキャラクターは、非常に良いキャラクターだったと思います。

この小説の書かれた時代においても、いわゆる不良少女に分類されると思うのですが、決して悪い子ではないんですよね。

むしろ、チラッとしか書かれていない家庭環境が彼女の背景にはあって、寄る辺のない日々を明るく過ごしていたんだろうなと。

彼女と他のキャラクターのどこか空虚な距離感も、そういう背景を感じさせます。

一冊読み終わると、ぼーっと過ごしていた自分の高校時代のすぐ隣でも、超常現象は抜きにせよ、様々な事件が起こっていたのではなかろうかと思わされる、そんな作品でした。

竹田啓司のように、「気づかなければならなかった何か」に気づくことなくあの頃を過ごしてしまったのではないか、そんな気がしました。

(2)『ブギーポップ・リターンズ    VSイマジネーター    PART1』(1998年)

(3)『ブギーポップ・リターンズ    VSイマジネーター    PART2』(1998年)

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ア.あらすじ

予備校講師のバイトをしている大学生の飛鳥井仁(あすかい・じん)には、ある特別な能力がありました。

それは、人の心の有り様を胸に生える植物の像として認識できるというものです。

そんな能力があって、人の欠落を見ることができても、それをどうすることもできない自分に、飛鳥井仁は無力感を感じていました。

そんなときに、彼は、空から落下する少女の幽霊のようなもの(イマジネーター)と出会います。

一方で、海外から戻ってきた谷口正樹(たにぐち・まさき)は、転校先の学校でやっかみを買い、町の裏路地で少年たちの集団にからまれます。

そのときかばってくれた少女、織機綺(おりはた・あや)に恋をした正樹は、彼女とデートをするようになるのですが、彼女の抱える秘密には気づきません。

そして、そのうち、ブギーポップの真似をして夜な夜な街のチンピラたちと戦うようになります。

イマジネーターと呼ばれる存在と、綺の背後にある組織「統和機構」、そしてブギーポップを交えた暗闘のお話。

イ.感想

前作『ブギーポップは笑わない』よりも、かなりパワーアップしていて、めちゃくちゃ面白かったです。

前作とは違って、読者には各登場人物の得ている情報から物語の全体像が見えているなかでお話が進んでいくんですよね。

特に、おそらくこの作品の主人公である谷口正樹と織機綺の物語は、「どうなるんだこれ。バッドエンドかなあ」と心配しながら読みました。

前作からちらちらと出てきていた謎の組織「統和機構」も、マジで悪の組織感があってよかったですね。

やっかいな特殊能力を持った合成人間を作って送り込むとか、やば過ぎです。

超常の能力が登場しても、安易な直接バトル路線に行くのではなく、それぞれが搦め手を用いて目的を達成しようとするあたりは、最近のラノベとは異なる楽しさがありました。

 

次の巻『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』の紹介記事