人それぞれの人生と死を描くヒューマンホラー『死役所』の1~7巻の紹介

2018年09月28日執筆

2018年10月10日最終更新

※この記事では、いわゆる「ネタバレ」になるほどのことは書いていません。ご安心ください。

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

 

たまに重い内容の青年漫画を読みたくなりませんか?

ぼくはせっかく青年誌の漫画を読むなら重いのも読みたい派です。

え?「そんなのお前だけ」?

まあまあ、そんなことおっしゃらずに。

 

1.基本情報

(1)タイトル

死役所

(2)著者

あずみきし

(3)出版社

新潮社

(4)レーベル

バンチコミックス

 

2.あらすじ

死後の手続きをするために死者が訪れる場所「死役所」。

死役所には、様々な理由で死んでしまった人たちがやってきます。

死役所の総合案内を務める男性職員「シ村」と死者たちの関わりを通して、人の死や人生が描かれます。

 

3.各巻の紹介

(1)『死役所1』(2014年)/605円(amazonの紙の本)

この巻では、

  • 自殺した中学生の男の子(「自殺ですね?」)
  • 他人をかばって死んでしまった若い女性(「命にかえても」)
  • 虐待死した幼い女の子(「あしたのわたし①・②」)
  • 死刑執行を受けた若い男性(「働きたくない」)

が登場します。

それぞれの死役所での手続きを通じて、死役所がどんなところなのか読者がひとつずつ理解できるようになっています。

登場する死者たちの死に至るまでのストーリーは、日本中に転がっていそうなリアルな内容です。

特に、「自殺ですね?」はすれ違いが切なく、「あしたのわたし①・②」はかわいそうで悲しいお話でした。

(2)『死役所2』(2014年)/605円(amazonの紙の本)

この巻には、

  • 事故死した漫画家の男性(「腐ったアヒル①・②」)
  • 孤独死した高齢の男性(「男やもめ」)
  • 死役所の職員イシ間さん(「石間徳治」)
  • 事故死の中学生の女の子(「初デート」)

が出てきます。

特に、「腐ったアヒル①・②」と「初デート」が心にくる内容でしたね。

この2つは、なんというか、「ほんのちょっとだけ何かが違っていたらな」と思わせるのが、上手い描き方だと思いました。

(3)『死役所3』(2015年)/605円(amazonの紙の本)

登場する死人は、

  • 病死した芸人の男性(「カニの生き方①〜③」)
  • 事故死した女子高生(「前を見て」)
  • 事故死の女子大生(「成仏しません」)

です。

正直、「カニの生き方①~③」は、ちょっと読者の感動を狙い過ぎた感じでした。

ただ、「前を見て」については、高校生が陥りがちな現代の病理がよく表現されているなぁと思いました。

(4)『死役所4』(2015年)/605円(amazonの紙の本)

最初から順番に、

  • 病死したシ村を知る高齢の男性の話(「吊るす者 吊るされる者①・②」)
  • 事故死した女性の話(「堕ちる」)
  • 他殺の青年の話(「人を殺す理由」)
  • シ村の過去が少しだけ明らかになる話(「シ村さんの過去」)

でした。

「人を殺す理由」の最後の方のシ村のセリフは、最初は「何言ってんだコイツ」と思ったのですが、「シ村さんの過去」を読んで、「ああ、なるほどな」と思いました。

この「人を殺す理由」というお話は、なんだかモヤモヤ感の残る内容だったなと思います。

(5)『死役所5』(2016年)/605円(amazonの紙の本)

5巻には、

  • 死役所の職員ハヤシの過去話(「林晴也①~③」)
  • そのあとに、病死した動画配信者の男性の話(「命の放送」)
  • 事故死した小学生の男の子の話(「ヒーローごっこ」)

が収録されています。

ハヤシの過去話は、まあ、救いのない話でした。

こんなひどい目に遭ったら、そりゃ、殺して死刑になっても仕方ないですね。

(6)『死役所6』(2016年)/605円(amazonの紙の本)

この巻では、各話の最初でそれぞれの死因が分からない描き方に変わっています。

収録されているのは、

  • ホームレスと市役所の新人役人の関わりの話(「彫刻さん①・②」)
  • セクハラに悩むOLの話(「手羽先」)
  • リストカットの痕がある高齢の女性が死役所にやってくる話(愛する人①・②)

です。

「彫刻さん①・②」は、残念だけど救いのある話だったなと思います。

あと、「愛する人①・②」では、どうしてそんなことになってしまったのかという「理由」がはっきりと描かれていないので、気になりましたね。

(7)『死役所7』(2016年)/605円(amazonの紙の本)

この巻には、

  • 「加護の会」という宗教団体に入信していた若い男性の話(「加護の会①~③」)
  • 周りに気を遣い過ぎる若い男性の話(「気遣い」)
  • 死役所に新人職員の若い男性が入ってくる話(「新入職員」)

が入っています。

メインになっているのは「加護の会①~③」なのですが、ぼくは「新入職員」が良かったと思います。

「新入職員」では、死役所で働くということが職員本人にとってどういうことなのかということが描写されています。

死役所で働くということについてこの巻まであまり描かれていなかったので、「ああ、そういう状況なんだな」と理解できて良かったと思います。

 

4.こんな人にオススメ

たまには重いテーマの作品を楽しみたいあなたにオススメです。