あずみきし『死役所 10』|岩シ水くんの過去編が収録されてます

今回は、あずみきし『死役所  10』(バンチコミックス、2018年)の紹介をします。

 

1.あらすじ

この巻には、

・死役所職員の岩シ水くんの過去話(「岩清水直樹①・②」)

・ダイエットに狂っていく女子大生の話(「ダイエット日記」)

・顔にあざがあるおばあさんの回想(「しるし」)

・世直し連続殺人犯の登場する番外編(「よりよい社会を目指して」)

が収録されています。

テーマとしては「自分で考えること、感じること」ですかね。

 

2.感想

(1)毒親が異常な人間を生み出す

岩シ水くんの過去話「岩清水直樹①・②」では、割と異常な父親に育てられた岩シ水くんが、大人になってから偶然に困難に出くわし、自分で考える力がなかったために凶行に及んでいます。

こういう、毒親に育てられたがゆえに社会性や思考におかしなところを抱えて凶悪犯罪者になるという話は、割と聞きますよね。

秋葉原事件の加藤智大や土浦連続殺傷事件の金川真大が、確かこういうタイプの犯罪者でした。

毒親の支配と本人の自意識の薄さの相乗効果で、気づかないうちにおかしくなっていき、大人になってから生きづらさに直面して蓄積したストレスがある日爆発してしまう。

親になる人に「こういう子育てをしていたら大事件につながりましたよ」みたいな事例を学習してもらうことはできないものなのだろうかと思いました。

(2)痩せていなければ美しくないという圧力

現代の病理を描いた「ダイエット日記」では、このお話の中心になっている女子大生が、痩せているほど美しいという価値観に嵌まっていってしまいます。

実際にこういうふうに拒食症に陥ってしまう人はたくさんいるのでしょうから、世の中の「痩せていなければ美しくない」というダイエット圧力は非常に強いのでしょう。

そういえば、ダイエット関係のテレビ番組は頻繁に放送されていますし、近年では少し太っているだけの人にも「メタボ」という言葉が浴びせられました。

痩せ過ぎていると体力が落ちて、ちょっと病気になったときにあっさり死んでしまったりするにもかかわらず、意外なほどに「痩せ過ぎるのも身体に悪い」という声は、あまり聞かないなと、このお話を読んで思いました。

まあ、太り過ぎも痩せ過ぎもダメと言われてしまうと、その間にいなければならないことになるので、それはそれでプレッシャーだからかもしれませんね。

(3)番外編の今後は?

何のオチもなく終わってしまった番外編ですが、このお話の続きが読みたいなと思いました。

吉沢佐駆真なる人物が、社会の小さな悪に過剰な暴力で制裁を加えているわけですが、この吉沢という登場人物の人相などは出てきません。

このお話はこれでおしまいで、続きを描くつもりが無いから番外編なんだろうとは思いますが、どうして吉沢がここまで極端な行動に出たのかという理由の部分は気になるところです。

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