今回は、原作:稲垣理一郎、作画:Boichi『Dr.STONE 1』(ジャンプコミックス、2017年)のあらすじと感想です。
1.あらすじ
体力バカで真面目バカな高校生の大樹(たいじゅ)が、好きな女の子の杠(ゆずりは)に大きなクスノキの下で告白しようとしたその瞬間、謎のすさまじい光が世界を包み、全人類が石化してしまいました。
それから約3700年後……。
現代文明が風化し、世界が緑にあふれた未来で、大樹は目を覚まします。
そして、石化した杠の傍に残っていたクスノキに友達の千空(せんくう)からのメッセージを発見します。
再会した千空と大樹は、千空の科学知識を使って、杠を復活させて人類文明200万年を駆け上がろうとします。
それから半年ほどして、杠を復活させる手段を手に入れた千空と大樹でしたが、野生化したライオンに遭遇してしまいます。
絶体絶命のピンチを切り抜けるために、千空と大樹はかつて『霊長類最強の高校生』と呼ばれていた獅子王司(ししおう・つかさ)を復活させたのですが……!?
2.感想
(1)唖然とする設定とジャンル
いきなり全人類石化というとんでもない内容のマンガでビックリしましたが、遥か未来の世界なのに、まるで太古の昔のような環境になっているというのは、なかなか面白いなあと思いました。
千空の科学知識で厳しい状況に抗っていこうというストーリーなので、一応、分類としてはSFになりますかね。
(2)大人問題の解決
また、青少年を主人公にしてしまうと、必ず「大人は何してんの?」という設定上解決しなければならない問題が生じるのですが、全人類が石化してしまっているなら、千空たちが世界の中心で何ら問題ありません。
最初にトンデモ設定をドカンと出してしまうことで、少年漫画のツッコミどころ諸々が一気に解決してしまっています。
よく考えてありますよね。
(3)登場人物の若さを感じる純粋さ
千空が自分と科学の可能性を信じていたり、大樹が底抜けに優しくていいヤツだったりだとか、司がああいう考えを持っていたりするところは、少年の純粋さ、青臭さを非常に上手く表現していると思います。
そして、少年たちが純粋であることを、原始的な世界の単純さは許してくれます。
ジャンプらしいというか、変にひねくれていない、友情・努力・勝利のストーリーを期待できそうなマンガです。