安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 21』|ギレンのソーラ・レイがデギン、レビルを灼く

2019年02月27日執筆。

こんにちは、尾崎すぐるです。

今日は、安彦良和(著)、矢立肇・富野由悠季(原案)、大河原邦男(メカニックデザイン)『機動戦士ガンダム  THE ORIGIN  21』(角川コミックス・エース、2010年)の紹介です。

 

1.あらすじ

最終決戦前に和平交渉をしようとしたデギン・ザビでしたが、ギレンとキシリアに見限られ、後ろからコロニーを利用した殲滅兵器「ソーラ・レイ」を撃たれて、敵将のレビルもろとも宇宙の塵となります。

レビルの率いていた艦隊を失った連邦軍ですが、引くわけにはいかない状況ですから、ワッケイン少将の指揮の下、そのままア・バオア・クーでの戦いに臨みます。

艦隊の大部分を失った連邦は、戦艦を前に出して支援砲撃をすることもできず、モビルスーツを中心としてア・バオア・クーに取り付くことを目指します。

もちろんガンダムも出撃しますし、セイラも今回は増加装甲タイプのジムに乗って出撃します。

そして、キシリアの懐に飛び込んだシャアは、ララァと共に出撃し、ララァの乗るエルメスのオールレンジ攻撃の脅威は、連邦軍のモビルスーツ部隊を苦しめます。

エルメスとシャアの乗るゲルググと交戦する中で、ララァと心を通わせるアムロでしたが……。

2.感想

(1)ギレンとキシリアの狂気

前の巻でキシリアからも見限られてしまったデギンは、ここで退場することになります。

兄弟であるドズルを見捨て、父であるデギンを葬り去ったことで、ギレンとキシリアの冷酷さと狂気が強調されることになりました。

ソーラ・レイは、まさに選民思想から生じた憎悪の光と言えるでしょう。

(2)最終決戦のモビルスーツ戦を必然にする上手さ

レビルと一緒に連邦軍の艦隊の大部分が焼却されたことによって、連邦軍はア・バオア・クーでの戦闘で戦艦を敵の射程内に出して攻撃に参加させることができなくなってしまいました。

これによって、ア・バオア・クー宙域での最終決戦がモビルスーツやモビルアーマーを中心として進む状況が、整えられたわけです。

ガンダムなどのモビルスーツが中心となって戦うことに必然性を与えたこの流れは、上手いなぁ、と思いますね。

ああ、そういえば、ミノフスキー粒子も、パイロットが自己判断で戦わなければならない状況を作る仕掛けとして機能してきたんですね。

(3)ララァとアムロ

この1stガンダムの特殊性は、アムロには『SEED』のラクスや『鉄血』のアトラのような明確なヒロインがいないことだと思うのですが、最後の方に出てきたララァが、本来はアムロにとってのヒロインだったのでしょうね。

しかし、そのララァは敵として登場し、アムロは自らの手で彼女の命を奪ってしまいます。

これによって、アムロの孤独は完成されたと言えるでしょうね。

そういえば、主人公がヒロインを自分で殺してしまうとか、特殊な能力を持つヒロインを助けられないとかというのは、ガンダムシリーズでは定番ですが、このララァ・スンが最初の1人なのでしょうね。

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