安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 23』|ニュータイプとは、何だったのか

今回は、安彦良和ほか『機動戦士ガンダム  THE ORIGIN  23』(角川コミックス・エース、2011年)の紹介をします。

 

1.あらすじ

ガンダムとジオングによるモビルスーツ同士の戦いは幕を下ろしましたが、コクピットを出たアムロは、先にア・バオア・クーの深部に進んだシャアを追いかけます。

2人の最後の戦いは、人間同士の、「ニュータイプとは何か」という解釈をめぐるものでした。

一方のセイラは、味方してくれるジオンの士官たちを率いて司令室にたどり着くのですが、キシリアは既に撤収し、指令室には罠が仕掛けられていて……。

そして、爆炎に包まれるア・バオア・クーから脱出するため、ここまでみんなを乗せて飛んでくれたホワイトベースを放棄しなければならない時がやってきます。

この巻が、本編の最終巻になっています。

2.感想

(1)シャアが本当に望んだもの

最後の戦いの後で我に返るまで、シャアは明らかに過剰なストレスでおかしくなってしまっていますが、シャアのこれまでの人生を思い返すとしょうがないですね。

結局、シャアにとっては、政争の中で母:アストライアを殺されてしまったことが一番の戦う理由だったわけです。

ニュータイプどうこうというのは、表面的な理由に過ぎず、ララァにこだわったのも、自らを受け入れてくれる人を欲したからであったのでしょう。

前者のザビ家と戦う理由と後者の自らを受け入れてくれる人を欲する願いが混濁した結果が、上位存在としてのニュータイプという選民思想だったのかなと思いました。

ニュータイプでないからザビ家を殺すのであり、ニュータイプであれば自分を理解し慰めてくれるはずだという感じで、決して取り戻せない「母:アストライア」とこれから手に入る「ニュータイプ」のすり替えが起こってしまったのかなと。

(2)『ガンダム』はキャスバルのお話

この作品の主人公は、アムロ・レイというガンダムを操縦し、ニュータイプとして覚醒していく少年なわけですが、最初から最後までジオンの王子様と言ってよいであろうキャスバル(赤い彗星のシャア)の物語が作品の中心線です。

どちらかというと、アムロの方が物語世界の重要人物であるキャスバルのライバルとして立ち塞がっているキャラクターで、ライバルキャラを主人公にした外伝のような雰囲気を感じました。

この作品の造りは、最近のアナザーガンダムの作品とは随分と異なっていて、最近の作品しか知らなかったぼくとっては、予想外のものでした。

(3)ザビ家のその後が気になる

いわゆる1stガンダムは、この巻で終わりなのですが、ザビ家血統の大人たちはみんな死んでしまい、ザビ家の血を引いているのは、ドズルの娘であるミネバだけになったはずです。

この後ザビ家がどうなったのか気になるので、宇宙世紀の続きになる『Z』の小説版でも読んでみようかなぁ、と思いました。

ハマーン様とやらも気になりますしね。

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