山田昌弘『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』|非正規で結婚できないおっさんたち

2019年01月13日執筆

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

昨日はお休みしてしまいましたが、今日からまた頑張ります。

今回は、山田昌弘『底辺への競争  格差放置社会ニッポンの末路』(朝日新書、2017年)の概要と感想です。

 

1.概要

著者の山田氏は、家族社会学者で、中央大学文学部教授。

この本では、経済のグローバル化やバブル崩壊後の雇用環境の変化が、社会で暮らす人々にどのような影響を与えたのかについて書かれています。

かつて「パラサイト・シングル」と呼ばれた人たちのその後の話でもあり、就職氷河期世代以降の世代を取り巻く環境の話でもあります。

 

2.感想

第3章以降で書かれている通り、就職氷河期世代は、戦後初めて親より豊かになれない人が決して少なくなくなった世代です。

ただ、就職氷河期世代が目立つのも、よく議論の対象になるのも、彼らが人生のリスク化に最初に直面した世代だからなんですよね。

実際、第5章で言われている通り、その後の世代、今の30代や20代が彼らと比べて安定した人生を歩める環境にいるかというと、そんなことはないと思います。

むしろ、少子化の影響で社会保険料が上がり、消費増税がなされるなど、負担増の分、低所得で生きにくくなっていくでしょうし、就職氷河期世代ほど親が豊かではないんですよね。

その上、10年前、20年前ほど、正社員の職もよろしくありません。

団塊の世代はこの環境の変化から逃げ切れるかもしれませんが、若者世代が表面的な就職率の上昇をよりどころに就職氷河期世代の問題を自分事として捉えないのは、愚かに思えます。

就職氷河期世代の苦難を自分事として捉えて、個人としてどんな働き方をするのか、政治に何を期待するのかということを考えないと、リスク化した人生の先輩たちから得た教訓を何も活かしていないことになってしまいます。

あと、ぼくは、山田氏が提言しているような大学無償化には、正直反対なんですよね。

というのも、大学を無償化して「みんな大卒」という状態にしたところで、今度は「学校歴」による区別がより厳しくなるだけでしょうからね。

社会問題の解決に大学無償化を出してくるのは、少子化で大学の数を減らされかねない大学関係者と、できるだけ多くの高校生を競争に参加させたい教育産業の我田引水でしかないでしょう。

重要なのは、正規雇用と非正規雇用の格差を縮小することや、非正規雇用の従業員にも研修などの機会が提供されるようにすることで、結婚して家族を持てる環境を整えることでしょうに。

 

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