藤田孝典『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』|原因と課題と解決策は出尽くした感があるが……

2019年01月17日執筆

 

こんにちは、尾崎すぐるです。

本日も、まーた社会問題本の紹介をします。

自分の暮らしがあまり芳しくないと、どうしても気になるんですよね。

社会はどうなるのか、自分はどうなってしまうのか……。

では、藤田孝典『貧困世代  社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書、2016年)の概要と感想です。

 

1.概要

著者の藤田氏は、社会福祉士で、NPO法人「ほっとプラス」の代表理事。

この本では、主に若い世代に焦点を当てて、貧困問題を論じています。

扱われるのは、時代錯誤の若者論問題、教育問題、住宅問題で、最後に解決策の提言がなされます。

メインは教育問題と住宅問題ですね。

ブラックバイトと奨学金、そして実家から抜け出せない生活環境のお話です。

 

2.感想

最初に言っておくと、この本を読むと、かなり暗澹たる気持ちになります。

北朝鮮化が進んでいるのは、政治やメディアだけではなかったんだなと思いました。

特に、教育問題は深刻で、雇用側が、高校生や大学生をかつてのような「学生のバイト」としてではなく、「最下層の労働者」として扱っていて、結果として学生が学校に通えなくなってしまっているというのは、ひどい話だなあと思いました。

最近、しきりに労働力不足が言われていて、徴兵の噂まで出てきていますが、どうやら、民間ではすでに事実上の強制労働が蔓延しているみたいですね。

まあ、若者支援を「仕事を選り好みせずに働け」でやってきましたから、労働環境の悪化に歯止めがかからなかったんでしょうね。

一方の住宅問題は、ぼくも実家暮らしで非常に身に沁みているので、何とかならんかなあという感じです。

実家にいると、閉塞感が半端ではないですし、田舎だと移動の自由すら制限されてしまうんですよね。

ただ、なぜか弱者が弱者を攻撃して悦び、強者を擁護する日本では、この本で提示されているような「富裕層への課税を強化する」というのは難しいと思うんですよね。

この手の本を読んでいつも思うのは、原因、課題、解決策は提示されるものの、実現するための具体的な手段がないんですよね。

要するに、それぐらい現在の社会は統制がキマってしまっているということなのでしょうね。

まあ、批判だけするのもアレなので、「木っ端者が何言っちゃってんの?ププー!」と思われると分かっていて対案もどきを書きますが、おそらく、「富裕層への課税強化」よりは、「親の所得による学費の累進制」とかの方がうまく通せるんじゃないかなあと思います。

つまり、大学の学費を、年収200万円以下の人の子どもは年間10万円で、年収1,000万円以上の人の子どもは年間500万円とかにするのが良いんじゃないかなと。

これなら、高齢者や就職氷河期世代には不利益が無いので、数が多い年齢層を敵に回さなくて済むし、財源もいらないよねという思いつきですね。

まず、「これからは格差縮小でいくんだ」という雰囲気作りからでしょうから、なりふり構わずわかりやすい成果を出すべきかと。

 

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